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上肢の関節機能障害は12級6号や10級10号などです

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橋本行政書士事務所(交通事故サポートセンター)

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上肢及び手指の障害

上肢及び手指の障害

鎖骨肩甲骨など上肢は人間の肩や腕のことで、肩甲骨、鎖骨、上腕骨、前腕骨(橈骨・尺骨)から形成されています。

交通事故によってこれらの骨を骨折したり、関節を脱臼したりして、治療を続けたものの
骨に変形が残ったり、関節が元のようには曲がらなくなったり、あるいは切断されるなどして短くなったりすることが、後遺障害の対象となってきます。

関節を構成する骨同士は、双方にくっついている靱帯でひきつけられています。脱臼をした場合はかなりの確率で靭帯が損傷したり断裂したりします。

上肢及び手指の障害については以下のとおり、欠損障害、変形障害、機能障害ついて等級が定められています。

【このページの目次】


上肢の骨また、上肢には腕神経叢(わんしんけいそう:脊髄から腕に伸びる神経が複雑に叢(くさむら)のように交叉している部分)から正中神経、橈骨神経、尺骨神経の 3 本の神経が、それぞれ違う経路を通って手指まで伸びていますが、交通事故での骨折などにより、この神経が直接切断されたり、圧迫されたりして神経症状(痛みやしびれ)が発生することがあり、これらのことも後遺障害の対象となります。


1.上肢の欠損障害

「上肢をひじ関節以上で失ったもの」

1級3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4級4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの

「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは次のいずれかの場合をいいます。

  • ●肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの
  • ●肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
  • ●ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

「上肢を手関節以上で失ったもの」

2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの

「上肢を手関節以上失ったもの」とは次のいずれかの場合をいいます。

  • ●ひじ関節と手関節との間で切断したもの
  • ●手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

通常は6か月治療を続けても治らなかった症状が後遺障害とされていますが、欠損障害に関しては6か月経っていなくても、後遺障害の申請が可能で、等級認定がなされます。


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2.上肢の機能障害

「上肢の用を全廃したもの」

1級4号 両上肢の用を廃したもの
5級6号 1上肢の用を廃したもの

3大関節(肩関節、ひじ関節及び手関節)の全てが強直し、かつ、手指の全部の用を廃した場合です。


「関節の用を廃したもの」

6級6号

1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

8級6号

1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

関節の用を廃したものとは次のいずれかの場合をいいます。

  • ●関節が強直したもの
  • ●関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
  • 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

関節の強直(きょうちょく)とは、「関節の完全強直又はこれに近い状態にあるもの」と、「末梢神経の損傷により弛緩性麻痺となり、自動では可動できないと医学的に判断される場合又はこれに近い状態にあるもの」をいいます。

この場合「これに近い状態」とは、関節可動域が、原則として健側の関節可動域角度の10%程度以下に制限されているものをいい、「10%程度」とは、健側の関節可動域角度の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度とされています。

また、関節可動域が10度以下に制限されている場合は全て「これに近い状態」に該当するものとして取り扱われています。

これは、例えば右のひじ関節に大きな可動域制限がある場合、健側(左側)のひじ関節の可動域が145度だったとすると、145度の10%は14.5度ですが、これを5度単位で切り上げて15度と考え、右ひじ関節の可動域が15度以下であればひじ関節の強直となる、ということです。


「関節の機能に著しい障害を残すもの」

10級10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

ひじの痛み関節の機能に著しい障害を残すものとは次のいずれかの場合をいいます。

  • ●関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
  • ●人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2分の1以下に制限されていないもの

関節の機能に障害を残すものとは次の場合をいいます。

  • 関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているもの

人工関節・人工骨頭を挿入置換した場合は、8級6号(関節可動域が1/2以下の場合)か10級10号(関節可動域が1/2を超える場合)のどちらかとなります。

ですが人工関節・人工骨頭を挿入置換して可動域が1/2以下ということは、実際にはまずありえません。ですから人工関節にした場合は、10級10号になると考えればほぼ間違いありません。


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チェック!! 後遺障害診断時の立証検査
【上肢の運動障害(関節の可動域測定)】
  • 関節可動域の測定は、「主要運動」を測って左右(患側、健側)を比較します。左右とも怪我をしていたら、参考可動域との比較となります。
    3大関節の主要運動は、以下のとおりです。

  • 関節 主要運動 参考可動域角度
    肩関節 屈曲(前方拳上) 180度
    外転(側方拳上) 180度
    ひじ関節 屈曲・伸展 145度・5度(合計150度)
    手関節 屈曲(掌屈)・伸展(背屈) 90度・70度(合計160度)
  • ひじ関節と手関節は「屈曲+伸展」を一つの運動と考えて、合計の角度を左右で比較(または参考可動域角度と比較)します。

    肩関節のみ主要運動が二つありますが、関節の用を廃したものとは、この「両方の主要運動が全く稼働しない又はこれに近い状態となった場合」のことで、関節の著しい機能障害及び機能障害は、「二つの主要運動のうち、どちらか一方の可動域が健側の1/2以下又は3/4以下になった場合」です。ひじ関節と手関節は一つの主要運動の角度です。
    ~コラム~

  • ひじの関節の「屈曲」は、ひじを伸ばした状態から普通に曲げる動作です。「伸展」は、ひじを伸ばした状態から、屈曲とは反対側にさらに反るようにする動作です。ですから伸展は、通常は5度が限界です。

    ところが、たまに「肘関節 伸展30度」などと記載されている後遺障害診断書があります。
    よく聞いてみると、ひじ関節の障害によってそもそもまっすぐ伸ばすところ(0度)まで達しない、どんなに伸ばそうとしても30度ぐらい曲がったまま、という状態のようです。

    ひじ関節の伸展は、まっすぐ伸びたところが0度で、そこから反対側にそらせる角度を測るものです。
    そもそも0度まで伸びない場合は、伸展は「-30度」と記載しなければなりません。
  • このように後遺障害診断書に書かれた場合は、医師に丁寧に「マイナス」の記載をお願いしに行くことになりますが、なかなか苦労します。
    「私はこの仕事を50年以上続けているのだから私が正しいのだ!」と声を荒げる医師もいたりして・・・
  • ★参考運動を使う場合
  • それぞれの関節に、主要運動の他に参考運動があります。

    関節可動域を考える場合、参考運動を見るのは、
    「主要運動の可動域が1/2をわずかに上回る場合」です。

    この時にいずれかの参考運動が1/2以下に制限されいれば、関節の用を廃したもの、と認定されます。「わずかに」とは、上記肩関節と手関節については10度です(ひじ関節は参考運動がありません)。

    主要運動が3/4をわずかに上回る場合(機能に障害を残すものかどうかの境目)も同様です。

  • 参考運動は以下のとおりです。
  • 関節 参考運動 参考可動域角度
    肩関節 伸展(後方拳上) 50度
    外旋・内旋 60度・80度
    (合計140度)
    ひじ関節
    手関節 橈屈 手首を伸ばしたまま、手を振るように手のひらを水平に母指側(橈屈)と小指側(尺屈)に傾ける 25度
    尺屈 55度

→ 関節可動域についてさらに詳しく

→ 可動域制限があるのに等級が認められない!?


→ 12級7号(機能障害)と12級13号(神経症状)で差が出るのか?

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3.上肢の変形障害

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」

7級9号

1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

次のいずれかに該当する場合をいいます。

  • ●上腕骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの
  • ●橈骨及び尺骨の骨幹部又は骨幹端部にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの

「偽関節を残すもの」

8級8号 1上肢に偽関節を残すもの

次のいずれかに該当するものをいいます。

  • ●上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
  • ●橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すが硬性補装具を必要とはしないもの
  • ●橈骨または尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

上肢の「長管骨に変形を残すもの」

12級8号 長管骨に変形を残すもの

次のいずれかに該当するものをいいます。なお、同じ長管骨に次の複数の項目が該当する場合でも、12級8号となります。

  • ●①上腕骨に変形を残すもの ②橈骨及び尺骨の両方に変形を残すもの、のいずれかに該当し、外部から想見できる程度のもの。具体的には15度以上屈曲して不正ゆ合した状態
  • ●上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部にゆ合不全を残すもの
  • ●橈骨または尺骨の骨端部等にゆ合不全を残すもので、硬性補装具を必要としないもの
  • ●上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
  • ●上腕骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下にまたは橈骨もしくは尺骨(それぞれの骨端部を除く)の直径が1/2以下に減少したもの
  • ●上腕骨が50度以上外旋または内旋変形ゆ合しているもの

ⅳ.手指の欠損障害

「手指を失ったもの」

3級5号 両手の手指の全部を失ったもの
6級8号

1手の5の手指またはおや指を含み4の手指を失ったもの

7級6号

1手のおや指を含み3の手指またはおや指以外の4の手指を失ったもの

8級3号

1手のおや指を含み2の手指またはおや指以外の3の手指を失ったもの

9級12号

1手のおや指またはおや指以外の2の手指を失ったもの

11級8号

1手のひとさし指、なか指またはくすり指を失ったもの

12級9号

1手のこ指を失ったもの

指の欠損
手指を失ったものとはおや指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものとされており、具体的には次に該当するものをいいます。

  • ●手指を中手骨または基節骨で切断したもの
  • ●近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)において基節骨と中節骨とを離断したもの

「手指の一部を失ったもの」

13級7号

1手のおや指の指骨の一部を失ったもの

14級6号

1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

1指骨の一部を失っていることがエックス線写真等により確認できるものです。ただし、その程度が手指の末節骨の長さの 1/2以上を失った場合は、手指の用を廃したものに該当するため、除かれます。


ⅴ.手指の機能障害

「手指の用を廃したもの」

4級6号

両手の手指の全部の用を廃したもの

7級7号

1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

8級4号

1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの

9級13号

1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの

10級7号

1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

12級10号

1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

13級6号

1手のこ指の用を廃したもの


手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、または中手指関節もしくは近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すもので、具体的には次に該当するものをいいます。

  • ●手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

  • ●中手指節関節または近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの

  • ●おや指については、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているものも「著しい運動障害を残すもの」に準じて取り扱います。

  • ●手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも「手指の用を廃したもの」に準じて取り扱います


「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」

14級7号

1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

遠位指節間関節を屈伸することができないものとは、次にいずれかに該当するものをいいます。

  • ●遠位指節間関節が強直したもの
  • ●屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないもの、またはこれに近い状態にあるものをいいます

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